2015年2月1日日曜日

涅槃図

涅槃図
 この涅槃図は長谷川等伯の青年期の作、能登・妙成寺蔵の模写です。涅槃図の依頼を受けても困るのは精巧な図録がないことです。幸いこの図は手持ちの画集から見つけ、かろうじてデッサンを起こせました。しかし空を群青(本物はベージュ)に変えたり、不明なところは他の涅槃図から転用したりしております。
 頂相や仏画で一番難しく、出来映えを左右するのは描線です。神仏を描くのですから、人間的な個性を殺した,中国古来より絶対的な線と言われる鉄線を用います。この線は筆の握り方が重要です。鉛筆握りではなく、人指し指に中指を添え、親指とで筆を支えます。手の内に卵を抱える感じであまり力を込めず、ほぼ垂直に筆を立てて線を引きます。図案家や陶器の絵付け師、書道家や篆刻家がテレビに出てきましたら、良く観察して下さい。日本画家は殆どが「鉛筆握り」です。


☆この涅槃図は宮城県の被災地のお寺に納めさせて頂きました。

   

☆本紙寸法は約100号(面積でたたみ一畳くらい)です。
   


☆画面をクリックすると大きくなります。


この作品の次作として今年中くらいに完成の涅槃図があります.それはもっと精密な等伯の画集が手に入ったので,前作以上に厳しい線が引けていると思います.5年をかけて描いていますが,5年時間がかかるのではなく,主業の頂相の合間に描くので,それだけお待ち頂く事になります.私ももう年金受給年齢ですので、あと1.2作が限度ではないでしょうか.体力は運動すれば維持出来ますが,視力は鍛えようがありません.ご注文はお早い目にお願い申し上げます.尚、前金とか着手金を頂きませんので,死んでしまえばそれまでという事で,ご容赦下さい.


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