2015年2月20日金曜日

雲水さんの肖像 2

パステル画 警策 頂相画家西村俊廣


 直日(じきじつ・坐禅のリーダー)が警策を担いで単(一人々の坐)のを廻ると,雲水は合掌をして迎える。「警策を打って下さい」という合図である。右手を左肩に置き、左膝を折って,前屈の姿勢で受ける。「パーンパンパーン」鋭い音が静寂を突き破るが,少し体型を変えるだけで体の痺れが消えるのは不思議である。
 
 老師のお供をして、中国の巨大寺院、伯林寺や、スティーブ・ジョブスが坐禅をしたというサンフランシスコ禅堂で坐ったが、警策が廻る事はなかった。暴力とも受け止められかねない警策であるが、打たれる方が遥かに楽なのである。伝統というものは常に人の常識を超えるものであると思う。

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☆描き方を教えて欲しいというメールを頂くので、参考までに。

      
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完成図はキヤノン5Dで、下の描き順はニコンD3200で撮った。画素数はニコンの方が多いのに、色の感受性が劣る気がする。特に青の階調が全くとらえられない様に思う。


〒606-8102 京都市左京区高野清水町142 西村俊廣  075-722-3927
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2015年2月17日火曜日

雲水さんの肖像

パステル画「拝」     

 禅堂で拝を繰り返す雲水。深く礼,それから膝を折り額を地に着け,掌を上にして頭の上に差し上げる。再び立ち上がり合掌・・・。
 辛い冬を乗り切った修行僧の背を早春の陽光が照らす。

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「花園誌」H18年3月号

 妙心寺発行の月刊「花園」に平成10年から20年までの10年間、パステル画を掲載させて頂いておりましたが、その中の一枚です。生データから画像を起こしたので,花園誌上の絵より,遥かにクリアです。
 雲水像は沢山描いており,未発表の絵もありますので,後日UP致します。



☆パステル画
       

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2015年2月3日火曜日

達磨図


向嶽寺の赤達磨

 数年前,東京の禅寺の依頼で,山梨・向嶽寺の達磨図を模写しました。鎌倉時代の作で国宝に指定されている有名な達磨図です。
 やはり難しいのは描線,こういう肥痩の激しい線は全く中国式の筆の持ち方で描く。ちょっと文章では説明出来ないので,中国要人が議定書等にサインをする筆法をよく観察して下さい。
 岩絵具は天然辰紗(硫化水銀)の8番を多用しました。殆ど赤い砂です。実物はそこまで大粒の絵具は使ってないだろうが、画集から感じたザラザラとした絵肌を重視しました。大粒の岩絵具が蛍光色の様な発色をして,辰紗の重い物質感を感じられる作になったと思います。

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2015年2月1日日曜日

十六善神像

十六善神像

禅宗で奉る仏画は,頂相の他には涅槃図と十六善神と達磨図くらいで、あまり種類が多くありません。十六善神はお正月に飾るおめでたい仏画です。



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涅槃図

涅槃図
 この涅槃図は長谷川等伯の青年期の作、能登・妙成寺蔵の模写です。涅槃図の依頼を受けても困るのは精巧な図録がないことです。幸いこの図は手持ちの画集から見つけ、かろうじてデッサンを起こせました。しかし空を群青(本物はベージュ)に変えたり、不明なところは他の涅槃図から転用したりしております。
 頂相や仏画で一番難しく、出来映えを左右するのは描線です。神仏を描くのですから、人間的な個性を殺した,中国古来より絶対的な線と言われる鉄線を用います。この線は筆の握り方が重要です。鉛筆握りではなく、人指し指に中指を添え、親指とで筆を支えます。手の内に卵を抱える感じであまり力を込めず、ほぼ垂直に筆を立てて線を引きます。図案家や陶器の絵付け師、書道家や篆刻家がテレビに出てきましたら、良く観察して下さい。日本画家は殆どが「鉛筆握り」です。


☆この涅槃図は宮城県の被災地のお寺に納めさせて頂きました。

   

☆本紙寸法は約100号(面積でたたみ一畳くらい)です。
   


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この作品の次作として今年中くらいに完成の涅槃図があります.それはもっと精密な等伯の画集が手に入ったので,前作以上に厳しい線が引けていると思います.5年をかけて描いていますが,5年時間がかかるのではなく,主業の頂相の合間に描くので,それだけお待ち頂く事になります.私ももう年金受給年齢ですので、あと1.2作が限度ではないでしょうか.体力は運動すれば維持出来ますが,視力は鍛えようがありません.ご注文はお早い目にお願い申し上げます.尚、前金とか着手金を頂きませんので,死んでしまえばそれまでという事で,ご容赦下さい.


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2015年1月31日土曜日

尼僧の肖像画

頂相画家 西村俊廣

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浄土真宗の肖像画・御影像

 浄土真宗も画像を残す習慣があって、御影と呼ばれている様です。私の作例は数点ですので詳しくは分かりません。画像の上部を短冊状に切り抜き「名号」というお題目を入れると聞きました。
 宗派に関わらず尼僧像も依頼を受けますが、私の一番気に入った作例です。信仰の対象の為、全体図は公開出来ませんが、ご想像頂けると思います。



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             全身座像部分                




                  拡大部分図





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P3

2015年1月28日水曜日

頂相 2 臨済宗・曹洞宗

頂相画家 西村俊廣

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写真的な頂相(ちんそう)
 
 お寺によっては写真みたいに描いて欲しいという依頼もあります。絵絹に岩絵具で写真的に描くことは大変難しいですが、岩絵具だからこそ可能でもあります。一番難しいのはボカシですが、チューブ絵具や泥絵具では奇麗に出来ません。水を使ってぼかすと下の色が溶けて輪ジミが出来ます。そしていくら上に絵具を重ねようが同じシミが出ます.
 岩絵具で可能なのは例えて言うなら、砂浜は波が引くとき輪ジミを残さず、泥田はそうはいかないのがヒントでした。岩絵具で描いた画面は、例えば新品の化粧パレットを開いた様な、均質な完全マットに仕上がります。学生時代に学んだ、テンペラやフレスコ、エンカウスティーク(私の場合は蜜蝋ではなく松脂)の技法も取り入れて描いております.
 


臨済宗の頂相

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曹洞宗の頂相 
   
   





絵の耐久性について
 私の肖像画は絵絹の上に岩絵具で着色しております。岩絵具は鉱物から出来ており,変色,退色は致しません。又ドウサに明礬を用いませんので,酸化に因る絵絹の黄斑も出ません。ほぼ絵絹の寿命の500年くらいと考えます。対して油絵は酸化し易い重金属の粉を顔料としており,又溶き油が黄変したりで数十年で劣化が始まります。ひび割れ、剥落等も必然です。 


☆パステル画も描いています。

      
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